外反母趾の原因

外反母趾と巻き爪の、意外な関係とは?

外反母趾にお悩みの方は、巻き爪も併発している方が多くおられます。

それぞれに対して、それぞれの対策を頑張っておられる方が殆どだと思いますが、実は発生の原因に共通の部分があり、対策も共通のもので対応可能なのです。

患者さん
患者さん
そうだったんですか!、私も外反母趾も巻き爪もあるんですが、母も姉もどっちもあるんです。
中島先生
中島先生
それは遺伝的な素養もありますが、外反母趾になる仕組みと巻き爪になる仕組みに、共通のものがあるからです。なのでそういう方、多いですよ。

ここでは巻き爪の発生の仕組みや、外反母趾との関係について、またその改善法などをお伝えしします。

巻き爪とはどんな状態のことか

爪の両サイドが皮膚の方に巻いてきて、食い込んでいる状態。

酷くなれば痛みを発し、化膿していくことになります。

親指がなることが多いですが、その他の指でも発生します。

整形外科などでは、コットンを詰める治療やプレートやバネ・ワイヤーなどを使って巻いてきた部分を元に戻そうとクセづけるやり方、最終的には爪を切除する手術で対応したりします。

巻き爪の原因とは

巻き爪を対処療法ではなく根本的に改善したければ、その原因を知ることがとても重要になります。

そして実は巻き爪になる原因とは、大きく二つあるのです。

原因①足指を使わない

まずそもそも、爪というものは「放っておくと丸まっていく性質」があるのです。

なので指の腹の方(爪の無い方)から、押し返す圧力をかけることで、爪は真っ直ぐを維持していると言われています。

具体的には足の指で言えば、指を踏みしめることで下から上への圧力がかかることになり、それが爪の真っすぐを維持している力となっている、ということ。

この理屈だけを取って逆を言えば、巻き爪は足の指を踏みしめずに歩いているから、足の指を使わないからなっている、という説明になっていきます。

原因②足指に負担をかけすぎ

しかし、これだけでは説明のつかないケースがあります。

例えば先日のテレビ番組でのことです。

バレーボールの選手が巻き爪で悩んでおられていて、出演していたお医者さんに相談をされていたのですが、そこでもそのお医者さんに「足指を使っていないから」と言われていました。

でも、ちょっと考えてみてください。

バレーボール選手で足指使わないってこと、ありえますか

競技のあらゆる場面で足指を踏ん張るので、まずありえないですよね?

しかもテレビに出るような有名選手なので、練習は四六時中。

もし「日常の歩き方は足指を使っていないはず」という方がおられれば、それはスポーツに打ち込んだことのない方の意見。

打ち込んでいるスポーツの動作の癖は、日常にも出ます。

私も実際に野球に打ち込んでいましたが、野球の動作の癖が日常に出ていて、それを矯正するのに苦労しました。

なので、むしろ日常も前加重で指に過剰に力を入れて、日々歩いている傾向のはずなんです。

ではなぜ巻き爪になってしまったのか?

それが二つ目の原因と深く関係しているのです。

そのもう一つの原因とは、指に過剰な力が加わると発生するいうもの。

使わない、負荷がかからない過ぎもダメですが、かかりすぎもダメだということ。

真逆のパターンでも発生するということなんです。

どんな物事でも同じですが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということですね。

もうお分かりだと思いますが、先ほどのバレーボール選手の場合、明かにこっちが原因のはずなのです。

あなたはどっちか?

この話を聞くと「私の巻き爪の場合どっちなんだろう?」と、思う方は多いはず。

それを間違えればその対策は、真逆をやってしまうということになってしまいますからね。

しかしご安心ください。ほとんどの場合は「足指に力を入れすぎ」の方です

なぜなら、足指を使わない過ぎでなる巻き爪は、ほぼ寝たきりレベルの話

ごく普通の生活をしていれば、足の指に必要な圧力がかからない、ということはまずありません。

「私、家からあまり出ないけど」という方もおられますが、家の中では食事やトイレで、ある程度はうろうろしますよね。

また、もしたとえあなたが「浮指」と呼ばれる状態だったとしても、巻き爪になるほど使っていないということは、まずありません。

現代多くの方はむしろ「足指の使い過ぎ」状態のことの方が多いのです。

浮指であろうがハイヒールであろうが、原因は何であれ足元が不安定になると、人間は踏ん張って支え、安定させたくなるものです。

その時、踏ん張るという動作は、足の後ろの方(かかと)ではなく、足の指などに力を入れるはずです。

要するに、何らかの理由で足元が悪くなればなるほど、指に力を入れることが増えていくのです。

そしてここで、外反母趾と浮指の関係性についてです。

多くの方の巻き爪が「足の指に力を入れすぎてなっている」とお伝えしましたが、それは実は外反母趾の原因とも共通するものなのです。

外反母趾の発生の原因

外反母趾の原因として、「ハイヒールのせい」だとか、「遺伝でどうしようもない」とか、「足の指を使わない生活のせいで弱ったからだ」と思っておられる方がおられます。

しかしこれらは正しくはありません。

外反母趾の発生の仕組みは、実はすでに明らかになってます。

それをご理解いただきために、まずは歩くときの足の仕組みを簡単にご説明します。

「しっかり足」と「ぐらぐら足」

実は人間の足は歩いている時に、ずっと同じ形をしている訳ではありません。

大きく分けると、2つの形を行ったり来たりしながら歩いているのです。

一つ目の形は、皆さんがよくご存知の状態。

この形では土踏まず(アーチ)があって、足の骨と骨の間が密に締まった状態。

この状態を専門的には回外(スピネーション)というのですが、ここでは簡単に「しっかり足」と呼ぶことにします。

そしてもう一つは土踏まず(アーチ)が低く落ちて、足の骨と骨が緩んでぐらぐらになった状態。

こちらも正式には回内(プロネーション)というのですが、ここでは「ぐらぐら足」と呼ぶことにします。

体を支えるためには「しっかり足」が適しています。

しかし歩くときは「しっかり足」のままでは、その衝撃が直通で膝や股関節に行き、痛んでしまいます。

なので着地の瞬間にその衝撃を吸収するため、、足はあなたが考えなくても自然に「ぐらぐら足」の形に移行しているのです。

そして着地が終わった瞬間からすぐに「しっかり足」に戻る。

実はこれを繰り返して歩いているのです。

外反母趾発生の仕組み

これを踏まえて、外反母趾はなぜ発生するか。

本来「しっかり足⇔ぐらぐら足」を交互に繰り返しながら歩いていたものが、様々な原因で「ぐらぐら足オンリー」で歩く癖になってしまっている方がおられるのです。

「ぐらぐら足」は衝撃吸収用の緩んだ状態なので、それを常時使っていると足に負担が大きく、足は横に伸びていってしまいます。

これが外反母趾の発生原因で、専門的には過剰回内(オーバープロネーション)といいます。

この「しっかり足⇔ぐらぐら足」の仕組みや、外反母趾発生のメカニズムは、別に私が見つけ出した特別な説ではありません。

アメリカなどの足の医療の発達した国では、実はごくごく当たり前の話。

実は足病医学の基礎中の基礎なのです。

巻き爪と外反母趾の関係

いかがでしょうか。

これが外反母趾発生の仕組みとすれば、巻き爪の原因との共通のポイントが見えてきたのではないでしょうか。

そうです、ぐらぐら足オンリーで歩くことが外反母趾への流れを作りますが、ぐらぐら状態が続くと、安定のために足指に力を入れざるを得ないのです。

なので外反母趾を患っておられる方は、巻き爪にもなっている場合が非常に多い、ということになるのです。

患部への処置だけでは、どちらも根治はしない!

巻き爪の治療として、爪にワイヤーを通したり、場合によっては手術を選択したりもします。

しかしそれでその時は改善したとして、ここでお伝えしたような発生の原因がそのままだとしたら、その先はどうでしょうか。

また同じ状態に戻っていくことは、予測に難しくないでしょう。

これは外反母趾も同じことで、手術をしても元に戻っていく場合が多く、このことはお医者さんはよくご存じです。

なので例えば実際に、聖路加国際病院のホームページなどでは以下のように説明があります。

また、変形が矯正されても、根本にある外反母趾になっていく傾向がなくなるわけではないため年単位の経過によって症状が再燃することがあります。

引用:聖路加国際病院ホームページ

要するに巻き爪にしても外反母趾にしても、その根本的な改善のためには、患部付近に過剰な圧力をかける歩き方を止めることが必要だ、ということなのです。

実際の改善例(測定写真)

歩き方を変えるだけで、外反母趾や巻き爪が本当に改善するのでしょうか?

本当かな?と思われる方もおられるかと思い、いくつか改善例を挙げてみます。

これらは多くの大学病院でも使用しているフットルックという、信頼性の高い計測器のデータです。

特に左足は重度(40度以上)間近の外反母趾だったのが、正常値(14度以下)一歩手前まで大幅に改善。

横幅も1センチ以上も小さくなっています。

この方の場合ご高齢で、時間はかかっているものの大幅に改善。中程度後半だった外反母趾が、同じく正常値一歩手前までになっています。

治療に際して、全身の骨格の矯正は行いましたが、足指には一切触れていません(2人目の例の方は、骨格の矯正も行っていません)

基本的に歩き方のみでの改善です。

このような改善例は私たちにとっては珍しくなく、公開許可のあるものだけで1000例以上所有しているのです。

巻き爪に関しては、私たちはの専門からは少し外れているているので、残念ながらこのような詳細な記録は残っていません。

しかし、爪に圧力のかからない歩き方にすれば、爪が皮膚を押す圧力も当然減ることは、ご理解いただけるでしょう。

そういった理屈から言っても、これまでの実績からも、まず間違いなく痛みはほぼなくなります。

そして巻き爪がましになるだけでなく、小さくなってしまっていた小指の爪が元に戻るなどの改善も、見られるようになります。

これだけ大幅な改善が、歩き方の治すだけで得られるのは、それが外反母趾や巻き爪の根本原因だからなのです。

まとめ

巻き爪と外反母趾は、併発している方は非常に多いもの。

の理由は共通して、足指に負担をかけすぎていることが挙げられます

そしてどちらも、根本的な解決には負担をかけな歩き方の習得が不可欠。

そうして原因を取り除くことができれば、どちらもどんどん改善していくのです。

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中島武志
中島武志
外反母趾改善の専門家。アメリカ足病医学をベースとした歩法”ゆるかかと歩き”で外反母趾を大幅改善。公開許可のある改善症例1000例以上(2019年5月現在)。北は北海道から南は福岡まで、その歩行指導メソッドを全国の治療家が続々と導入中。ネイティブウォーキング協会代表理事。