外反母趾を治すために、患部をもんだりほぐしたり伸ばしたりと、悪戦苦闘している方は多いのではないでしょうか?
その様ないわゆる「マッサージ」で外反母趾を治そう、少しでも改善しようと試みている方には申し訳ありませんが、外反母趾はマッサージでは良くはなりません。
外反母趾はなぜマッサージでは良くならないのか、なぜむしろ悪化する場合が多いのか。
これについて詳しくお伝えしていきます。
外反母趾とはどんな状態のことか
外反母趾とは、親指の付け根辺りが横に広がり、出っ張ってしまった状態。
痛みは出ない方もおられます(痛みは無くても、その影響はあちこちに出ているので要注意です)
あなたが外反母趾かどうか、またその程度については以下の様なチェックでわかります。
外反母趾の基準とセルフチェック
外反母趾に良いとされるマッサージの種類
外反母趾に良いと紹介されているマッサージについて、いくつか写真を使ってご説明します。
足の指の間に手の指を入れ込み、動かすようなマッサージ(ストレッチ)。
指の間を開き、動きをよくする狙いだそうです。
脚の側面をほぐすマッサージ。
脚の疲れを取ったり、動きをよくするのが狙いだそうです。
脛横をほぐすマッサージ。
足の疲れを取り、足首の動きをよくする狙いだそうです。
土踏まず付近をほぐすマッサージ。
土踏まず周辺の筋肉や、足底筋膜などを緩めるマッサージだそうです。
かかとのマッサージ。
かかと周辺の骨の位置の調整や、周囲の筋肉をほぐすマッサージだそうです。
このような外反母趾改善のためのマッサージは、動画でネットに上がっていたり、治療院で教えられたりするそうです。
しかし外反母趾改善の専門家としての立場と経験から言うと、基本的にこれらはどれも効果は無い、と思っていただいてよいでしょう。
マッサージは外反母趾の改善に、なぜ役に立たないのか
外反母趾に限らず「マッサージ」の狙いは、今の状態で固くなってしまった患部周辺を柔らかくすることで、元の良い状態に戻りやすくしようとするもの。
「固くなった」→「柔らかくする」「曲がった」→「真っ直ぐする」
そうしたい気持ちはわかります。
しかしこれではあまりにも短絡的な考え。
そもそも体は基本的に、意味のないことはしません。
何らかの原因で必要性を感じて、そのように「対応」してくれているのです。
外反母趾のこわばりは、実は必要な「保護」
例えばやけどの時に水ぶくれ(水痘)ができます。
ブヨブヨして気持ち悪いし、針などで突いてつぶしてしまう方がおられます。
しかし実は、それをやってしまうと治りが遅くなるのです。
なぜならあの水ぶくれの中身は、皮膚の保護成分。
あの成分のおかげで傷が早く修復し、感染症にもかかりにくくなるのです。
このようにあなたにとっては不快でも、体は何らかの必要性があってのその状態にしている、というのはとても多いもの。
「膝に水がたまる」も、「風邪で熱が出る」も、「肩こりで首肩辺りがカチカチになる」も。
そして「外反母趾で患部がこわばる」も、またそうなのです。
外反母趾で患部がこわばっているのは、ある意味での保護状態。
外反母趾は患部周辺に、多大な負担をかける良くない歩き方が原因の「生活習慣病」。
多大な負担に耐えられるように、体は敢えてその周辺を固くすることによって、それに対応しているのです。
なので負担の多い歩き方を止めることができれば、患部は柔らかさを取り戻し、足の指も真っ直ぐに戻っていきます。
「やらないよりは、やった方が、、、」も間違い
逆に言えば、歩き方は改善されず負担の大きいままなのに、ストレッチなどで患部を柔らかくしてしまうとどうなると思いますか?
ご想像の通り、余計に悪化したり痛みが増したり、改善が長引くことが多いのです。
なので「やらないよりは、やった方が、、、」という意見に対しても、私は賛成することができないのです。
外反母趾は、原因である歩き方を変えれば治る!
先ほどお伝えした「体は余計なことはしない」「必要に迫られてその状態にしている」という理屈で言えば、負担のない歩き方になれば、こわばりは無くなるはず。
外反母趾は本当に、そんな歩き方で改善するという程度で良くなるのでしょうか?
私はこれまで歩き方による外反母趾改善に取り組んできており、その詳細な記録を多く残しています。
その中のいくつかの症例を挙げてみます。
これらの記録は、多くの大学病院でも使用している「フットルック」という計測器を使った、信頼性の高いものです。
この方の場合は、左足は中程度後半だった外反母趾が、約4か月後には正常値一歩手前まで改善しています。足の横幅も1センチ以上も小さくなっています。
この方は80歳を超える女性。時間はかかっていますが、それでもやはり中程度後半の外反母趾が、正常値手前まで改善しています。
これらの改善は、基本的に歩き方の改善でもたらされたもの。
マッサージはおろか、足の指には一切触れてはおりません。
そしてこのような例は、公開許可をいただいているものだけで1000例以上もあり、私どもにとっては珍しくないのです。
まとめ
マッサージは、外反母趾の改善には効果的ではありません。
むしろ逆効果の場合の方が多いぐらい。
もし外反母趾が生活習慣が原因ではなく、事故などで発生するものなら話は別です。
日常に原因は無いのですから、あとは患部の状態を良くしていくだけ。
そういう病気やけがに対しては、ストレッチは有効でしょう。
しかし生活習慣病で発生している症状は、体にとっては何らかの必要に迫られての「その状態」。
「指が曲がった」「患部がこわばった」は、原因に対しての結果としてそうなっているので、原因である歩き方の改善に力を注ぐべきです。
そうすれば自然に、患部のこわばりも指の曲がりも改善されていくのです。