外反母趾になってしまった方の中には、「もしかして歩き方が関係しているのかも」とお考えになる方も、最近はチラホラおられるようです。
それは実は全くその通りで、外反母趾の主原因はまさしくあなたの「良くない歩き方」が原因です。
そしてということは、あなたの歩き方のどこが良くないのか、どう変えればよいのかがわかれば、外反母趾は治っていくということになります。
どんな歩き方が外反母趾の原因となるのか。それをどう変えれば治るのか。またなぜそのことが広まっていないのかなどについて、お伝えしていきます。
外反母趾とはどんな状態のことか
外反母趾とは、親指の付け根辺りが横に広がり、出っ張ってしまった状態。
痛みは出ない方もおられます(痛みは無くても、その影響はあちこちに出ているので要注意です)
あなたが外反母趾かどうか、またその程度については以下の様なチェックでわかります。
外反母趾の基準とセルフチェック
「外反母趾になる歩き方」とは
外反母趾の主原因は、「ハイヒール」や「遺伝」や「足指を使わないせい」などではありません。
それをご理解いただくには、まずは人間本来の足の動きを知っていただくのが近道です。
それに合わせて外反母趾になる歩き方を、できるだけ簡単に説明してみます。
しっかり足とぐらぐら足
実は人間の足は歩いている時に、ずっと同じ形をしている訳ではありません。
大きく分けると、2つの形を行ったり来たりしながら歩いているのです。
一つ目の形は、皆さんがよくご存知の状態。
この形では土踏まずがあって、足の骨と骨の間が密に締まった状態。
これを専門的には回外(スピネーション)というのですが、ここでは簡単に「しっかり足」と呼ぶことにします。
そしてもう一つは土踏まずが落ちて、足の骨と骨が緩んでぐらぐらになった状態。
こちらも正式には回内(プロネーション)というのですが、ここでは「ぐらぐら足」と呼ぶことにします。
体を支えるためには「しっかり足」が適しています。
しかし歩くときはずっと「しっかり足」のままでは、着地の時の衝撃が直通で膝や股関節に行き、痛んでしまいます。
その衝撃を吸収するため、着地の瞬間だけあなたの足は考えなくても自然に「ぐらぐら足」の形に移行しているのです。
そして着地が終わった瞬間からすぐに「しっかり足」に戻る。
歩いている時に足の骨は、実はこれを繰り返しているのです。
足の使い方に問題アリ
これを踏まえて、外反母趾はなぜ発生するか。
本来「しっかり足⇔ぐらぐら足」を交互に繰り返しながら歩いていたものが、様々な原因で「ぐらぐら足オンリー」で歩く癖になってしまっている方がおられるのです。
「ぐらぐら足」は衝撃吸収用の緩んだ状態なので、元々強固な状態ではありません。
それを常時使っていると足の各所に負担が大きく、足は横に伸びていってしまいます。
これが外反母趾の発生原因で、専門的には過剰回内(オーバープロネーション)といいます。
平たく言えば、「ぐらぐら足ばっかりで歩きすぎ」という病気のこと。
この過剰回内(オーバープロネーション)をベースとして、前足部で地面を強く蹴る動き(専門的にはアブダクトリーツイストと言います)を併発すると、外反母趾は発生します。
この「しっかり足⇔ぐらぐら足」の仕組みや、外反母趾発生のメカニズムは、別に私が見つけ出した特別な説ではありません。
アメリカなどの足の医療の発達した国では、実はごくごく当たり前の話。
実は足病医学の基礎中の基礎なのです。
歩き方を変えれば、本当に外反母趾は改善するのか?
この「ぐらぐら足⇔しっかり足」の仕組みがうまくいっていないことが、本当に外反母趾の原因なのかどうかは、最初は私も確信が持てませんでした。
それが本当にそうなのかどうかを確かめる一番の方法は、「原因とされる歩き方を止めれば治るのかどうか」を確認するということでしょう。
しかしそれを検証した方は誰もいなかったため、私は多くの患者さんにご協力いただき、自身で丁寧に検証してみました。
そしてその結果から言うと、歩き方を変えれば外反母趾は改善する、と言うことがわかりました。
しかも少しではなく、大幅にです。
いくつかの改善例を挙げてみます。
この方の左足は中程度後半の外反母趾が、正常値目前まで改善しています。
この方は80歳を超える女性ですが、同じく大幅に改善。
これらの改善に、まず足の指は一切触っていません。
そして特徴的なのが、足の横幅が大幅に締まって小さくなっているのが、ご確認いただけるでしょう。
真ん中の絵が外反母趾ですが、親指の付け根が横に広がってなっているのがわかります。
ということは、外反母趾の改善は横幅が締まってこそ。
もし横幅が広いまま足の指を広げようとすると、右の絵の様な足の骨は広がったままのいびつな治り方になってしまいます。
そういう意味でも先ほどの二つの例は、とても自然で本来あるべき治り方だということです。
元の状態や本人の取り組み意欲・理解度にもよりますが、私がこれまで多くの外反母趾患者さんを診てきた中で、
●35度以下の方であれば、正常値とされる15度以下を目指せること。
●40度を超えるような重度の方でも、マイナス10度ほどの改善はできること。
●痛みはほぼ100%無くなること。
●歩き方が改善できているのに、角度や横幅が全く変わらないケースは、まずありえないこと。
などが確認、実証できました。
先ほどのような改善症例は、公開許可をいただいているだけでも、1000例を超えています。
なぜ外反母趾は「歩き方が原因」「歩き方で改善できる」ということが、広まっていないのか
まず、今までそれを調べ証明した人間がいなかった、ということが挙げられます。
外反母趾発生の原因は、足の医療の進んだ国などでは理論的にはわかっていたものの、それを基にどういう歩き方であればよいのかは、明確にはありませんでした。
まずはそれを組み立てるところからが必要です。
そしてそれを患者さんが習得しやすい表現法や、練習プログラムに落とし込まなくては、ただの理想論になってしまいます。
そしてさらに一定期間続けてもらい、信頼できる計測器でデータに残していくことが必要となります。
そのためには時間も費用も、多くの協力してくれる患者さんも必要です。
整形外科などの医療機関では、そのような歩行指導は担当する分野ではありません。
また得意な分野でもないでしょう。
そしてそれをやったとして現行の医療制度上、多くの売上につながりはしません。
またもっと身近な整骨院や整体院では、それに取り組む時間や資金をかけるぐらいなら、今ある治療法で対処するほうが、効果的でなくとも手っ取り早いとなってしまいます。
それらのことが、この分野の進歩を停滞させていたということです。
しかし私の場合は、私自身が足に問題を抱えており、半分は自分のこととして取り組めたことが幸いしました。
そして今では全国の治療家の方が、その歩き方指導を習いにお越しになり、皆さんそれぞれの現場で結果も出しておられます。
更にはこの成果にご注目いただき、それを本として出版しないかと声をかけていただけるまでになっております。
どんな歩き方をすればよいのか(動画)
具体的にはどんな歩き方をすれば良いのでしょうか?
まずはその場で行進をするように、足踏みをしてみてください。
そしてその動きのまま、ゆっくり前に出てみてください。
いつもよりももを持ち上げるような、この歩き方でOKです。
「本当にこれだけで?」
「一般的に良いと言われている歩き方と、全然違うけど?」
よく言われますが、大丈夫です(笑)
これで完全に「ぐらぐら足⇔しっかり足」の仕組みが取り戻せている、というわけではありませんが、その基礎までができていることになります。
私は治療の現場でもこれで成果を出していますし、足の骨格の仕組みから見てもこれで正解です。
何故この歩き方で、軽度の外反母趾は治るのか?
この歩き方は足指よりも、かかとをメインにして歩く仕組み。
外反母趾の方には、これが大きなポイントになります。
「足指を使わないから外反母趾になっている」と思っている方も多いようですが、そうではありません。
もしそれがその通りで、足指を鍛えれば治るのであれば、足指を酷使するハイヒールは、外反母趾に効果的なはず。
しかし、そうではないですよね。
体を横から見ればすぐにわかりますが、体の真下はかかと。
なので歩くときにもかかとを中心に歩くのが、骨格の構造上も自然で負担がないのです。
では足の前部分、指やつま先あたりを使うのはどんな場面か?
それは主にスピードを上げる時。具体的には走る時など。
そんな場合はつま先の方で地面をけることが必要になります。
しかし歩くときには、それは過剰な動作。
実はこれも、外反母趾を作る原因の一つなのです。
なので外反母趾になっている方は、知らずのうちに「走る姿勢で歩いている」「走る動きで歩いている」とも言えるのです。
まとめ
外反母趾は、あなたの良くない歩き方が原因。
足の医療の進んだ国では、専門的には過剰回内(オーバープロネーション)という名前で、広く知られた事実です。
なのでその歩き方を改善することができれば、外反母趾はどんどん治っていくのです。
それは多くの患者さんにご協力いただき、すでに検証・実証済みのこと。
あなたもぜひ取り入れてみてください。